車検切れの状態で公道を走ることは法律で禁止されていますが、
「車検に出す暇がなくつい2～3日過ぎてしまった」
「実施日を一ヶ月間違えていて、車検に出し忘れた」
という理由で、そのまま車検に出さずに乗っている方が少なくありません。
車検切れの車は公道を走ることができません。
しかし交通事故はいつどこで起こるかわかりません。車検切れの状態で何か不具合などが起きた際、事故に遭ってしまう恐れもあります。
この記事では、車検切れの車を走らせて事故に遭ったときの罰則や、事故車の処分方法などについてご紹介します。
車検切れ状態で事故を起こした場合はどうなる？
車検切れの状態で事故を起こした場合には、下記のような状況に分かれて罰則が異なります。
- 車検切れしているけど自賠責保険は有効な場合
- 車検も自賠責保険も切れている場合
- 任意保険のみ切れていない場合
では、それぞれどのような状態でどのような罰則がかかるのか紹介していきます。
車検切れのみで自賠責保険は有効な場合
まず車検切れで公道を走ると「無車検車運行」で道路運送車両法違反となり、まず下記の罰則が課されます。
| 違反点数 | 行政処分 | 刑事処分 |
| 6点 | 30日間の免許停止 | 6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
（参考：チューリッヒ保険会社）
上記の表の無車検車運行の違反点数と罰則に加え、交通事故の状況に応じて違反点数や罰則が科されます。
車検切れの車が事故を起こすと車検切れの罰則と交通事故の罰則が加わるので、罰則は重くなります。
事故を起こしたときの1番の懸念点は被害者への賠償金ですよね。
事故を起こしたときに、自賠責保険が切れていない場合は自賠責保険と任意自動車保険の両方を利用することができます。
ただし、加入している保険の約款で「無車検車運行の補償はしない」と明記されている場合があるため注意しましょう。
車検と自賠責保険が切れている場合
ちなみに自賠責保険が切れたまま公道を走るのも罰則の対象になります。
| 違反点数 | 行政処分 | 刑事処分 |
| 6点 | 30日間の免許停止 | 1年6ヵ月以下の懲役または80万円以下の罰金 |
（参考：チューリッヒ保険会社）
上記の罰則に、起こした事故の罰則が追加されます。
自賠責保険が切れているともちろん事故の被害者に支払う賠償金は保険から落ちません。
そのため、自分でお金を用意する必要が出てきます。
車検・自賠責保険切れの罰金と被害者への賠償金で場合によっては何百万円、請求される可能性があります。
相手に後遺症が残る、または死亡させてしまった場合、賠償額が数千万円以上になるケースも。車検・自賠責保険が切れている状態での走行は絶対にやめましょう。
任意保険は切れていない場合
任意保険が使用できるかは契約した条件次第になります。
もし使用できても、任意保険が支払う金額は、もともと自賠責保険ではまかなえない部分のみになります。
例えば、事故で相手にケガをさせてしまい、治療費用が200万円かかった場合、自賠責保険の補償限度額は120万円。
不足分の80万円は任意保険から補償されますが、自賠責保険分の120万円は自己負担です。
上記のように自賠責保険が元々支払う分は自分で支払う必要があります。
加えて、事故状況によって違反点数や罰則が科されます。
車検切れの車の事故は対象によって罰則が変化！
物に対して事故を起こしたのか、人に対して事故を起こしたのかで罰則が変化していきます。
それぞれどのような罰則が科されるのか紹介していきます。
物損事故を起こした場合は車検切れの罰則のみ
物損事故を起こした場合は以下の罰則が課せられます。
| 違反点数 | 行政処分 | 刑事処分 |
|
なし |
なし |
■必要な処置を取らなかった場合 ■報告しなかった場合 |
※刑事処分は状況によって変わる場合があります。
上記のような罰則になります。
物損事故は事故に対しての罰則はないことがほとんどです。
しかし、もちろん車検切れの罰則が課されるので、処分は重くなります。
物損事故は基本的にはきちんと報告を行えば、刑事処分はありません。
人身事故を起こした場合は重い刑罰がのしかかることも
人身事故は被害者にどれだけの被害を与えたかによって罰則が大きく変化します。
ちなみに人身事故の刑罰の度合いは以下の通りになります。
| 被害の度合い | 違反点数 | 刑罰 |
| 死亡 | 13点/20点※ | 懲役刑・禁固刑：7年以下 罰金刑：100万円以下 |
| 3カ月以上の治療または後遺障害が残った | 9/13点※ | 懲役刑・禁固刑：7年以下 罰金刑：50万円 |
| 30日以上3か月未満の治療 | 6点/9点※ | 罰金刑：30万円～50万円 |
| 15日以上30日未満の治療 | 13点/20点※ | 罰金刑：20万円～30万円 |
| 15日未満の治療 | 2点/3点※ | 罰金刑：12万円～30万円 |
※違反点数は数字が小さいほうが相手に非がある場合の違反点数になり、数字が大きいほうは加害者の責任が大きいときの違反点数です。
上記に加え、行政処分が課されます。
行政処分というのは被害者への治療費や車の修理費、事故に遭わなければ得られた収入を支払う処分です。
車検切れの罰則に加えて刑罰と行政処分が重なるので膨大なお金を払う必要が出てきます。
事故を起こした相手の車が車検切れだった場合
事故を起こした相手が車検切れだった場合はどのようなことが起こるのでしょうか？
ここからは事故を起こした相手が車検切れだった場合を紹介していきます。
相手から賠償金を受け取れない可能性もある
事故にあった場合は加害者側から車の修理費用やけがの治療費、車を運ぶレッカー代を請求することができます。
しかし、相手の保険切れで請求されたお金を払えない可能性があります。
上記のような状態になると、被害者側が治療費やレッカー代を支払う必要が出てきます。
相手が支払いに応じない場合は、相手が所有する不動産や債権を差し押さえる強制執行が可能になります。
しかし、強制執行は自己破産の手続きを取られると、効力を失うので賠償金を取り戻せなくなります。
政府保障事業の適用が可能なことを知っておく
政府保険事業とは、「ひき逃げ事故」や「無保険事故」の被害者に対して、加害者の代わりに国土交通省がお金を払ってくれる制度です。
被害者側から保険会社へ請求書類を提出すると、国土交通省から賠償金が支払われます。
時効もあるので、加害者に支払い能力がなく治療費が必要になった時は早めに請求しましょう。
政府保証事業の詳しい内容はこちら
車検切れの車はどう対処すべき？
車検切れの車はなるべく早急に車検を取り直しましょう。
車検切れを起こしているからと言って車検を受けるときの費用は変わりません。
しかし、車検切れの車はどのように車検する場所まで運んだらよいのでしょうか？
車検切れの車をどのように運ぶのか説明していきます。
積載車（せきさいしゃ）で移動させる
「レッカー移動で良いのでは？」と思われがちですが、タイヤが公道に面していると「走行」と判断されるケースがあります。そのため、積載車に車を丸ごと乗せて運びます。
積載車の依頼は意外と簡単にすることができます。
車検切れの車があったら積載車で運んでもらいましょう。
仮ナンバーを取得する
仮ナンバーとは、一時的に公道の走行が許可されるもの。市区町村の役所・役場などで発行してもらえます。ただし、自賠責自動車保険が有効でなければ発行してもらえません。
車検・自賠責の両方が切れている場合、まず自賠責保険の手続きをしましょう。
車検を行っている業者に代行を依頼することも可能ですが、発行手数料と代行手数料がかかります。
一方、車検切れの車で交通事故に遭った場合、仮ナンバーを取得している暇はありません。積載車を手配し、修理工場や買取業者などへすぐに移動させましょう。
車検切れの車を公道で運転するのはNG！
車検切れの車で公道を走るのは違反なので、車検切れの車で公道を走ることはできません。
前述したように車検切れの車で公道を走ると罰則があります。
また、車検切れの車はばれます。
車検切れの車が公道を走るとばれる理由をこれから説明していきます。
車検切れの車はばれる！
車検切れで公道を走っていると意外にもばれてしまいます。
車検切れの車がばれる理由としては２つあります。
- 車検証ステッカー
- 自動車ナンバー自動読み取り装置（Nシステム）
車検証ステッカーは車のフロントガラスに貼ってあるステッカーです。
ステッカーには車検満了日が記載されているので、ステッカーを見れば一発で車検切れ車両だとばれてしまいます。
自動車ナンバー自動読み取り装置（Nシステム）は走行中のナンバープレートを自動に読み取り、車検証と照合します。
（参考：国土交通省公式HP)
無車検で公道を走っていると判明すると無車検運行の禁止と車検受検を促す指導ハガキが送付されます。
また国土交通省によると警察と連携して街頭検査もしています。
車検証は車内に置いてあるからといって、ばれないわけではないので車検切れしてしまったら即座に車検を受けましょう。
事故車の処分に困ったらタウにお任せ
車検が切れた車で事故を起こしてしまった場合、どう対処したら良いのか頭を抱えてしまいますよね。
さらに車の損傷が激しいと、後々「修理して乗り続けるのか、または乗り換えた方が良いのか」といった問題も浮上します。
事故で損傷した車は、まず修理代金を見積もってもらい、買取業者にも査定を依頼しましょう。その上で、自身が加入する保険を確認します。
車両保険に入っている場合、修理代金には保険が適用されます。いくらまで補償されるのかを確認しましょう。ただし保険を利用すれば等級がダウンし、翌年の保険料が上がります。どの程度保険料が上がるのかもあわせてチェックしましょう。
車の損傷が激しく骨格（フレーム）部分まで修理が必要となると、修理代金は高くなります。
修正せずに売却するとしても査定額に大きく影響し、予想していた金額より低い査定額になることも。このような場合は無理して修理せず、売却して乗り換えを検討しましょう。
放置するよりも、まずはタウへご相談を
もっともやってはいけないのは、事故車を放置すること。車の素材はほぼ金属のため、例えば塗装剝がれていれば、サビてきます。時間が経つにつれてかかる修理代金は高くなり、査定額は下がります。早め早めに対処していきましょう。
一方で、こう悩みの方も多いことでしょう。
そこでおすすめしたいのが、事故車の買取を専門とする業者の利用です。
事故車買取専門業者タウは、ディーラーや中古車買取業者では値がつかないような事故車、修復歴車、未修理車、水没車、不動車などを専門に買取しています。
日本車は海外でニーズが高く、たとえ事故車でも高い価格で流通しています。タウは世界120ヵ国以上に販売ネットワークを持つため、どのような状態の車でも高価買取が期待できます。
「修理代金が高い」
「事故車は縁起が悪いので乗り換えたい」
「他の買取業者では値がつかない」
事故車の処分でこうお悩みの場合は、ぜひ一度タウにご相談ください。
まとめ
今回は車検切れの車が交通事故を起こしたときの罰則や対処法を紹介しました。
車検切れの車で事故を起こした場合は、車検切れで公道を走った時の罰則と事故を起こした罰則が重なるので、必然的に罰は重くなります。
自賠責保険や任意保険が切れている場合は被害者側に支払う請求額を保険を使わず支払う必要があります。
状況によっては何百万と支払う必要が出てきます。
また、事故をした相手が車検切れだった場合は支払い能力がない可能性もあります。
相手に支払い能力がない時は政府保証事業を利用しましょう。
車検切れで公道を走るのは道路交通法に違反しています。
車検切れする前に車検を通しておきましょう。
