突然の事故で車が動かなくなると、「この車、どこに運べばいいの?」と困りますよね。
レッカー車は依頼する業者によって金額が異なるうえ、搬送先を間違えると保管料や再搬送料が発生する場合があります。
焦って決めるほど損をするリスクが高まるので、状況にあった最適な搬送先を判断できるよう下記のポイントはおさえておきましょう。
- 状況別に最適な搬送先を選ぶ判断基準
- 保険ロードサービスとJAFの正しい使い分け
- 夜間・高速道路など特殊状況での注意点
- 修理か売却かを決める判断の考え方
本記事では、どうすれば一番損をせず安全に処理できるかを事故対応のプロの視点からわかりやすく解説します。
小池 一敏
事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。 ...続きを読む
事故後の車はレッカーでどこに運ぶべき?
事故で車が動かなくなったとき、最初に判断すべきなのはレッカーでどこに運ぶかです。
事故車の搬送先には、以下のような選択肢があります。
- 修理工場
- ディーラー
- 自宅
- レッカー業者の一時保管場所
- 警察の保管所
事故車の搬送先は、事故の内容や事故を起こした時間帯、修理に出すか売却するかで変わります。
また選んだ搬送先によっては、修理費用や保管料、保険の適用範囲が大きく変わるので、できるだけ早く適切な判断を下すことが大切です。
とはいえ、事故直後は動揺していたり、修理するか売却するかも決まっていないという方が大半でしょう。
そんなときは無理に搬送先を即決せず、保険会社などに連絡して専門スタッフと一緒に状況を整理しながら、最適な搬送先を選択しましょう。
こちらの章では、事故した車の最適な搬送先をケース別に紹介し、加えて注意点を詳しく解説します。
修理する場合は修理工場かディーラーへ運ぶ
事故車を修理して乗り続けたい場合、一般的な搬送先は「ディーラー」または「修理工場」です。
以下に、それぞれの特徴をまとめました。
| 搬送先 | 主な特徴 | メリット | デメリット |
| ディーラー | メーカー直営または正規代理店が修理を実施 | 純正部品を使用し高精度な修理が可能 | 費用が高く、見積もりまでに時間がかかりやすい |
|---|---|---|---|
| 修理工場 | 保険会社指定の提携工場が多い | 費用を抑えやすく、リビルト部品(再利用部品)で修理可能 | 納期・保証対応は工場によって差がある |
修理費用の支払いで保険を利用する場合は、加入している保険会社に連絡して、提携工場を紹介してもらうのが基本です。
提携工場であれば保険会社と連携して、見積もりや修理内容の確認も行ってくれるので、手続きがスムーズです。
なお、保険会社のロードサービスは原則として事故現場から最寄りの提携工場へ搬送するよう規定されています。
特定の修理工場やディーラーに運びたい場合は、保険会社に連絡して希望を伝えるようにしましょう。
ここで注意したいのは、提携工場以外の場所に搬送する場合は無料で運んでもらえる距離に上限があることです。
例えば、事故現場から100kmを超えると1kmあたり700〜900円の追加費用が発生するケースもあります。
気になる方は、契約している保険会社へ連絡して、契約内容を確認しておきましょう。
なお、ディーラーや修理工場に依頼する場合の修理費用に関しては、下記の記事でそれぞれ解説していますので、併せてご確認ください。


修理を検討している場合は、現場で早めに保険会社へ連絡し、搬送先を確定させるのがポイントです。
夜間の場合は自宅かレッカー業者の一時保管場所へ運ぶ
夜間や休日など修理工場が閉まっている時間帯に事故が起きた場合は、自宅またはレッカー業者の一時保管ヤードに車を運びます。
どちらも一時的な保管という前提なので、それぞれに費用面や安全面での違いがあります。
| 搬送先 | メリット | デメリット |
| 自宅 | 保管料がかからず、すぐに車の状態を確認できる | 駐車スペースや防犯対策が必要で近隣トラブルに発展する恐れあり |
|---|---|---|
| レッカー業者の一時保管ヤード | 防犯設備が整っており安全性が高い | 保管料や再搬送料がかかる可能性あり |
自宅に搬送する場合、保管費用はかかりません。
しかし、家の敷地内に安全に停められるスペースの確保や防犯面で問題がないことが前提です。
事故直後の車は破損箇所がむき出しになっていたり、液体が漏れていたりするため、そのまま放置すると以下のような近隣トラブルにつながることがあります。
- オイル漏れや冷却水漏れによる路面の汚れ
- 焦げ臭いにおいやバッテリー液漏れによる健康被害
- 壊れたガラスや部品の一部が道路に飛散
こうしたトラブルを防ぐためには、車にカバーをかける、オイル受け皿を敷くなど周囲に配慮した対策をとることが大切です。
とくにオイル漏れやバッテリー損傷がある場合は、発火するおそれがあるため、絶対にエンジンをかけないようにしましょう。
なお、レッカー業者の一時保管ヤードに運んだ場合、48時間までは無料で保管してくれますが、それを過ぎると1日あたり1,000〜3,000円ほどの保管料が発生します。
費用を少しでも抑えるには、翌営業日中に修理工場や保険会社に連絡し、最終的な搬送先を決めることが重要です。
刑事事件に発展する事故の場合は警察の保管場所へ運ぶ
人身事故や重大な過失が絡む事故では、車両が警察署の保管場所に運ばれることがあります。
これは事故の原因調査や現場検証を行うためです。
そのため、警察の保管所に搬送された場合は、警察からの指示と連絡を待ちましょう。
また、保管が長期に及ぶ場合は、保管にかかる費用が発生することもあります。
では、一般的な保管期間や費用の目安を以下で確認してみましょう。
| 項目 | 内容 |
| 保管期間 | 捜査完了まで(数日〜1週間程度が一般的) |
|---|---|
| 保管費用 | 普通車で1日あたり500〜1,000円程度 |
警察から車両の引き渡しの連絡を受けたら、速やかに保管所から引き取りましょう。
引き取りのときには
- 車検証
- 免許証
- 印鑑
の用意が必要です。
引き渡し後の最終的な搬送先への手配は、車の所有者が行わなければなりません。
一般的な流れは以下のとおりです。

なお、警察保管所からの引き取りを長期間放置すると、日割りで保管料が増額します。
また、先ほどの章でもお伝えしたとおり、1kmあたり700~900円の再搬送料も発生する可能性があります。
保管費用と手間を抑えるためにも、引き渡し連絡を受けたら早めに搬送先とレッカー業者の手配を確定させましょう。
警察とのやり取りのときには、搬送先を変更できるタイミングも確認しておくと安心です。
事故後のレッカーは誰に頼む?ロードサービスと一般業者の違い
事故直後に車が動かなくなったとき、「どこにレッカーを頼めばよいのか」と迷う方もいるでしょう。
まず確認すべきなのは、自分が加入している自動車保険にロードサービスが付帯しているかどうかです。
多くの保険会社では、事故や故障時に無料でレッカー搬送を行うサポートが用意されています。
このサービスを利用すれば、深夜や遠方でもレッカーが手配できます。
ここでは、ロードサービスを使う場合と使わない場合の違いを整理し、それぞれの特徴や注意点を解説します。
なお、レッカー代の費用に関しては、下記の記事をご覧ください。

自動車保険付帯のロードサービスを利用する
すでに解説したとおり、任意保険に加入している場合、事故現場から提携する修理工場へのレッカー搬送を無料で利用できるサービスがあります。
保険会社によって無料で搬送してもらえる距離の制限が異なるので、代表的な保険会社の例を下記の表にまとめました。
| 保険会社 | 提携工場距離上限 | 任意の工場距離上限 | お問い合わせ窓口 |
| ソニー損保 | 最寄りまで無制限 | けん引距離が100kmまで | 0120-101-789 |
|---|---|---|---|
| 東京海上日動 | 最寄りまで無制限 | 15万円相当まで*¹ | 0120-119-110 |
| 三井ダイレクト | 最寄りまで無制限 | 実走距離が100kmまで*² | 0120-638-312 |
| チューリッヒ | 最寄りまで無制限 | けん引距離が100kmまで | 0120-860-001 |
*¹東京海上日動が事前に承認した場合に限り15万円を上限に100km超えの搬送が可能
*²JAF会員の場合は任意工場までの距離上限が120km
保険会社のロードサービスは、夜間や休日でも対応しており、現場の警察やレッカー業者と連携して手配を進めてくれるので安心です。
レッカーを手配する場合は保険会社の専用窓口に連絡しましょう。
自動車保険付帯のロードサービスは、利用しても等級や保険料には影響しません。
JAFや一般のレッカー業者に依頼する
保険にロードサービスが付いていない、または補償範囲外で対応できない場合は、JAF(日本自動車連盟)や一般のレッカー業者に直接依頼しましょう。
それぞれの特徴を比較すると以下のようになります。
| 依頼先 | レッカー料金 |
| JAF(会員) | けん引20kmまで無料(超過1km毎に830円) |
|---|---|
| JAF(非会員) | 約3万円+けん引料(1km毎に830円) |
| 一般のレッカー業者 | 平均2~5万円 |
JAFは全国に拠点があり、会員であれば夜間・休日を問わず20kmまで無料でけん引を依頼できます。
非会員でも夜間・休日の依頼はできますが、サービス料として基本料が割り増しになる点に注意が必要です。
JAFの料金形態について詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
一般のレッカー業者は地域に特化しているので、迅速に現場へ到着することができますが、深夜や高速道路、連休中などは割増料金が加算され、費用が5万円を超えることもあります。
そのため、事故現場では次のように判断するのが基本です。

事故を起こした時の費用負担を少しでも抑えたい方は、基本料金だけでなくけん引距離や利用の時間帯などの費用も比較して、依頼する業者を選ぶようにしましょう。
ここまでで、事故した車を運んでもらうときにどこに依頼すればいいかがわかったと思います。
しかし、レッカーが来るまでにどんなことをすればいいかわからないという方もいるでしょう。
特に高速道路で事故を起こした場合や夜間の事故の場合、事故の拡大を防ぐための対処が必要です。
そこで次の章では「夜間・高速道路など特殊な状況下での注意点」を詳しく解説します。
夜間・高速道路など特殊な状況下での注意点
夜間や高速道路で事故を起こした場合、最優先すべきは事故の拡大を防ぐことです。
走行車線上に車両が停止したままでは、後続車と衝突するリスクが高くなります。
まずは落ち着いて、以下の手順で安全を確保しましょう。

高速道路や夜間において、車内や路肩にとどまる行為は非常に危険です。
事故が発生した場合は、無理のない範囲で車を左側の路肩または非常駐車帯に移動させ、乗員は後続車に注意しつつガードレールの外側や安全地帯へ避難してください。
このとき、荷物を取りに戻ったり停車車両の近くをうろついたりする行為は、後続車にはねられる可能性があり、非常に危険です。
また、安全地帯に避難後は、速やかに警察や道路管理者に連絡しましょう。
高速道路の山間部やトンネル内など電波がつながりにくい環境の場合は、非常駐車場に設置されている非常電話から通報が可能です。
事故現場の安全が確保された後は、警察や道路管理者の指示に従ってレッカー搬送の手続きを進めましょう。
なお、交通状況や警察の判断次第で、警察が提携するレッカー業者を先に手配するケースがあります。
その場合、所有者が搬送先を指定できず、レッカー業者の一時保管場所に搬送されます。
夜間や高速道路では、焦りやすい状況だからこそ「命を守る順番」が何より大切です。
慌てずに①安全確保→②警察連絡→③保険会社への通報→④レッカー手配の順で行動しましょう。
レッカー移動後の帰宅方法
事故で故障した車をレッカー移動するとき、事故現場からの移動手段は基本的に自分で手配が必要です。
道路交通法の「旅客自動車運送事業」により、許可を得ていない事業者が人を運ぶ行為は禁止されています。
そのため、原則としてレッカー車への同乗は断られるケースが多いです。
保険会社のロードサービスも「保険料に含まれる付帯サービス」であるため、加入者を有料の旅客とみなされかねず、法令上の制約から同乗を禁止しています。
一方で、JAFは非営利団体であるため、道路運送法の「旅客自動車運送事業」には該当せず、最大2名(サービスカーの車種により乗員人数変動)まで乗車可能です。
| サービス提供者 | 同乗可否 | 同乗可能人数 |
| 保険会社のロードサービス | 原則不可能 | 0人 |
|---|---|---|
| JAF | 可能 | 1~2人まで |
なお同乗できない場合は、保険会社やJAFの担当者から公共交通機関やタクシー利用を案内されます。
多くの任意保険には「帰宅費用補償」や「宿泊費用補償」が付帯しており、実費を後日申請すれば補償されるケースが一般的です。
事故現場で「乗れない」と言われた場合は、次の2つの方法から最適なものを選びましょう。
- 家族や知人に迎えを頼む
- 公共交通機関を利用する
最も確実な方法は、家族や知人に迎えに来てもらうことです。
なお、夜間や見晴らしの悪い場所で連絡する場合は、周囲の安全を確認することが大切です。
連絡後は迎えの方が到着されるまで安全な場所で待機しましょう。
また、保険会社によっては、タクシーや電車など公共交通機関の費用を補償してくれます。
かかった費用は後日保険会社に領収書を提出すれば補償してくれます。
領収書は必ず保管しておき、後日提出して精算しましょう。
なお、任意保険のロードサービスには帰宅費用だけでなく、宿泊費用やレンタカー費用も補償してくれる場合があります。
こうした特典を利用すれば、費用を抑えながら安全に帰宅できます。
代表的な保険会社のサポート内容を下表にまとめました。
| 保険会社 | 宿泊費用 | 帰宅費用 | レンタカー費用 |
| ソニー損保 | 宿泊費を乗員分全額補償 | 公共交通機関の費用を全額補償 | 24時間まで無料 |
|---|---|---|---|
| 東京海上日動 | 1名あたり1万円まで補償 | 移動手段を提案し費用を補償 | 1日あたり7千円を上限に補償 |
| 三井ダイレクト | 1名あたり1万円まで補償 | 1名あたり2万円まで補償 | 優待価格で利用可能 |
| チューリッヒ | 宿泊費を乗員分全額補償 | 電車・バス費用を全額補償 | 24時間まで無料 |
これらの補償を受けるには、事故直後に必ず保険会社へ連絡し、担当者の指示に従うことが大切です。
そのため、必ず行動を起こす前に保険会社に連絡し、指示に従うようにしましょう。
万一のときに慌てないためにも、加入している保険のロードサービス内容を日頃から確認しておくと安心です。
修理するか売却するかの判断基準
事故車をレッカーで運んだあと、多くの方が悩むのが修理して乗り続けるか手放すかという判断です。
焦って決めてしまうと、修理費が想定以上にかかったり、後から「売ればよかった」と後悔するケースもあるので、確認しておきましょう。
まず最初に、修理に出すか売却するかの判断の目安を以下で確認しておきましょう。
| 損傷状況 | 修理可否 | 判断ポイント |
| 外装パーツのみの損傷 | 修理推奨 | 修理費用を車両保険で補えるか |
| フレーム損傷やエアバッグ作動あり | 売却推奨 | 修理後の安全性や走行性に問題はないか |
もし損傷が軽度でエンジンや骨格(フレーム)に影響がない場合は、修理して乗り続けても問題ありません。
たとえば、バンパーやライト、ドアのへこみなどであれば、修理費は10万円前後に収まることが多く、車両保険を活用すれば自己負担額も最小限にできます。
一方、エンジンの損傷や骨格の大きな歪み(ボディの変形)により、修理費用が車の時価額を上回る場合は、無理に修理するよりも事故車買取業者に売却する方が損失を抑えられます。
とくに事故車専門の買取業者であれば、たとえ走行不能な車でも、部品や金属資源としての価値を評価して買取を行ってくれます。
事故後は、長期的に見て損をしない選択が大切です。
修理費用の目安や見積もりの取り方を知りたい方は、下記の記事をご確認ください。


まとめ
事故で動かない車をレッカーで運ぶときに最も重要なのは、搬送先を早く決めることです。
ただし、判断を誤ると保管料や再搬送料などの余計な費用が発生することもあるので、状況に応じた最適な搬送先を選びましょう。
レッカーで運べる主な行き先は、次の3つです。
- 修理を前提とする場合:修理工場やディーラー
- 夜間や休日の場合:自宅やレッカー業者の一時保管場所
- 人身事故や過失が関係する場合:警察の保管所
夜間や高速道路での事故では、まず最初に警察と道路管理者へ連絡して指示に従い、安全を確保しましょう。
そのあとに事故の拡大を防ぐためにレッカーの手配を進めましょう。
なお、事故車の処分方法でお困りの方は、事故車買取のタウにご相談ください。
タウは世界120ヶ国以上に販売経路を持ち、他の販売店では減額対象となる事故車でも高価買取の可能性があります。
お気軽にお問い合わせください。
小池 一敏
事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。
