自損事故(単独事故)を起こしてしまった時、
「どのような保険を使えるの?」
「被害がなくても警察は呼ぶべき?」
上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
車両事故の中でも、相手がおらず自分の車だけで引き起こした事故を自損事故と言います。
そこでこの記事では自損事故を起こした場合に使える保険や、警察を呼ぶべきかについて解説します。
この記事を読めば自損事故を起こした場合に事故を起こしたときにどうするべきか、何の保険を使えば良いのか理解できるようになります。
是非参考にしてみてください。

事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。 ...続きを読む
自損事故とは当事者が運転手で相手方がいない単独事故
自損事故とは、歩行者や他の運転手がおらず、事故の相手方が存在しない車両事故のことを意味します。
自損事故の例と定義
例えば、
- 自分の車で電柱にぶつけた
- 車を右折した際にガードレールにぶつけた
- バック駐車時に縁石に乗り上げ車を傷つけた
などが挙げられます。
どの事例にも共通しているのは、「運転手自身のミスによる事故」であることです。
そして、その事故の当事者が運転手一人に限られているという点です。
一人だけが関わる事故であるため、自己判断で警察への届け出をせず、その場をやり過ごしてしまうことも少なくありません。
しかし、それが後々トラブルの原因になることもあります。
自損事故(単独事故)で警察を呼ばなかったら?
報告を怠ると道路交通法違反となる可能性があり、違反点数の加算や罰金、さらには免許停止処分を受けるおそれもあります。
交通事故が起きた際は警察に連絡することが義務付けられているので、例え自損事故で大きな被害が無い場合でも警察には電話しましょう。
この章では、自損事故で警察を呼ばなかった場合のリスクと疑問点を3つ解説します。
- 処罰の対象となり更に違反点数の加算や免停の可能性も
- 自損事故で警察を呼ばないと保険が使えない
- 駐車場での自損事故は警察を呼ばなくてもいい?
これらを知っておくことで、万が一のときに適切に対応でき、トラブルを防ぐことができるようになります。
処罰の対象となり更に違反点数の加算や免停の可能性も
自損事故の当て逃げは処分の対象です。
警察を呼ばなかった場合、以下のような処罰を受ける可能性があります。
刑事罰 | 罰則 |
危険防止措置義務違反 | 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
報告義務違反 | 3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金 |
行政罰 | 違反点数 |
安全運転義務違反 | 2点 |
危険防止措置義務違反 | 5点 |
「自損事故の当て逃げだから警察は呼ばなくて良い」という軽率な理由でいると、道路交通法第72条第1項違反に該当してしまいます。
具体的には、警察への告知義務が道路交通法で規定されており、警察を呼ばない場合当て逃げとして処理され、刑事罰の「危険防止措置義務違反」と「報告義務違反」の違反行為に該当します。
刑事罰に加えて、行政罰を受ける可能性もあります。
過去に行政処分を受けたことがない場合でも、行政罰による違反点数の加算により免許が30日間停止される可能性があります。
きちんと警察に報告し、適切な対応をすれば、事故を起こしても刑事責任や行政責任を問われないので、警察へ必ず報告をするようにしましょう。
自損事故で警察を呼ばないと保険が使えない
上記処分を受けるだけでなく、事故証明書がないとそもそも自損事故の証明ができないため保険会社にも保険金の請求が出来なくなります。
運転者本人だけが負傷した場合でも、保険金の請求には証明書が必要です。
つまり警察に連絡をしていない場合、修理代や病院代などすべて自費で支払うことになってしまいます。
また、事故後に体調不良が現れた場合でも、事故証明書がなければ、治療費の補償を受けられないことがあります。
事故後は速やかに警察に事故の連絡をして、事故証明書を取得しましょう。
駐車場での自損事故は警察を呼ばなくてもいい?
ただし、警察に届け出る必要がないケースもあります。
「道路に該当していない場所での自損事故」である場合は警察を呼ばずとも違反になる事はありません。
例としては、私有地である自宅の駐車場などです。
基本的に特定の人しか出入りしない個人の駐車場などは道路交通法の対象外となるためです。
注意して欲しいポイントは下記のような不特定多数の人が出入りするような場所では警察への届け出がマストです。
商業施設や店舗の駐車場
コンビニでの自損事故
補足として「道路に該当していない場所での自損事故」で車の損傷をした際でも保険を利用したいのであれば警察に連絡して事故処理をしてもらって、事故証明書を受け取るようにしましょう。
ただし保険を使うと等級が下がりますので傷が軽度な場合はおすすめしません。
保険の等級については、記事の後半の「自損事故(単独事故)での保険利用は等級が下がる」の章で説明します。
自損事故(単独事故)直後にすべき対応3選
- 二次被害の防止を行う
- 警察に報告をする
- 病院を受診する
上記の手順で自損事故の対処を行います。
上記を怠った場合は道路交通法の第72条で定められている危険防止措置義務を放棄として懲役や罰金の対象になる場合があります。
「事故直後に必ず行うべき対処3つ」それぞれ詳しく説明します。
二次被害の防止を行う
まず第一に、自身や他人の安全を確保することが最優先です。
自損事故は突然起きるため、車が道路上や交差点、見通しの悪いカーブなどに停まってしまう場合があります。
そのまま放置すると、後続車との衝突など、さらなる事故を招くおそれがあるため、速やかにハザードランプを点灯させ、三角表示板や発煙筒などで周囲に事故を知らせましょう。
もし車を安全な場所へ移動できる状態であれば、路肩や空き地へ動かすのも有効です。
ただし、重大な破損がある場合や、自力での移動が危険な場合は無理をせず、警察やロードサービスの到着を待つようにしましょう。
「二次事故を防ぐ」という意識を持つことが、自分や周囲の人を守る第一歩です。
警察に報告する
次に必ず行うべきなのが、事故の発生を警察に報告することです。
たとえ自損事故で相手がいない場合でも、警察への報告は「道路交通法」で義務付けられており、怠ると報告義務違反として処罰の対象になる可能性もあります。
警察は現場に駆けつけ、状況を確認した上で事故証明書を作成してくれます。
これが保険会社とのやり取りでも重要な書類になります。
この事故証明が発行されないと任意保険の多くは補償が適用されず、自動車保険を使いたくても申請が通らない場合もあります。
例えば、駐車場でポールにぶつけたというような軽微な事故でも、後から保険を使いたくなるケースはよくあります。
そんなとき、「あのとき警察に届けておけばよかった…」と後悔することも少なくありません。
そのため、警察への報告は必ずしましょう。
病院を受診する
最後に、身体に異常がないと思っても必ず病院を受診しましょう。
自損事故後は緊張や興奮状態により、痛みや異常に気づきにくいことがよくあります。
むち打ちや骨の損傷など、数日後に症状が現れるケースも珍しくありません。
受診を怠ると、後から症状が出たとしても事故との因果関係を証明しにくくなり、保険の適用が認められない可能性もあります。
特に人身傷害保険や搭乗者傷害保険などは、医師の診断書が必要な場合があるため、事故当日または翌日には医療機関で診てもらうことが望ましいです。
身体のケアはもちろん、保険請求の備えとしても、早期の受診は大切です。
身体に異常を感じなくても、必ず医療機関の診察を受けましょう。
自損事故(単独事故)を起こしたときに使える保険は2種類
自損事故で補償を受けられる保険には、大きく分けて「自賠責保険」と「任意保険」の2つがあります。
ただし、それぞれの保険で補償の範囲や対象が異なるため、内容を理解しておくことが大切です。
自賠責保険と任意保険では下記のような違いがあります。
以下で、それぞれの保険が自損事故でどのように使えるのかを詳しくご説明します。
自賠責保険(同乗者がいる場合のみ)
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するための保険で、車やバイクを持っている人は法律で加入が義務付けられている保険です。
つまり、基本的には「相手のケガや死亡」に対する対人賠償のみが対象で、物損や自分自身のケガや車の修理は対象外です。
自賠責保険の補償額には上限があり、相手の負傷した程度によって補償内容が変わります。
自賠責保険は事故の相手が傷害した場合は120万円まで、死亡した場合は3,000万円まで、後遺障害が残った場合は4,000万円までの補償が行われます。
自損事故の場合、運転者だけがケガをした自損事故については自賠責保険は使えませんが、同乗者がケガをした場合は補償されることは押さえておきましょう。
自分自身や車の損害に備えるには、後述の任意保険(自動車保険)への加入が必要です。
任意保険(自動車保険)
自損事故で補償を受けたいなら、任意保険(自動車保険)への加入が必要です。
任意保険にはさまざまな補償項目があり、自損事故でも「人」や「モノ」に対する補償を受けることができます。
補償範囲は、加入プランによって内容や限度額が異なるため、契約内容を事前に確認しておくことが重要です。
任意保険(自動車保険)で受けられる自損事故の主な補償
任意保険に加入していれば、保険の種類や契約条件によって異なりますが、自損事故でも「人」や「モノ」への補償を受けることができます。
この章では、自損事故時に任意保険(自動車保険)で受けられる主な補償について「人」と「モノ」に分けて解説します。
自損事故(単独事故)での人に対する補償
保険 | 補償内容 |
人身損傷保険 | 過失割合に関係なく治療費などが保証される保険 |
搭乗者損傷保険 | 搭乗者が死傷されたときに、
契約時に規定した保険金額を定額で補償する「定額払」の保険 |
自損事故傷害保険 | 自賠責保険が使えない自損事故での死傷を補償する保険 |
自分や同乗者がケガをした場合でも、適切な補償を受けられるのが任意保険の強みです。
多くの保険には、「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」が含まれており、事故によるケガに対して治療費や慰謝料が支払われます。
例えば、自損事故でハンドルを操作ミスしてガードレールに衝突し、運転手がむち打ちになった場合、人身傷害保険で通院費や入院費をカバーできます。
さらに、同乗していた家族や友人がケガをした場合も、搭乗者傷害保険によって補償が適用される可能性があります。
特に人身傷害保険は、自分の過失割合に関係なく実際にかかった費用を全額補償してくれる「実損払い型」が多く、経済的な負担を大きく軽減できます。
自損事故(単独事故)でのモノに対する補償
自損事故のモノに対する損害は、「車両保険」と「対物賠償保険」で補償されます。
保険 | 補償内容 |
車両保険 | 契約の車に損害が生じた場合に修理費などが補償される保険 |
対物賠償保険 | 事故により他人の車、家屋、電柱などに損害を与え、法律上の損害賠償責任を負う場合に補償される保険 |
「車両が破損した場合は、「車両保険」が適用されます。
どのような内容でも必ず補償されるわけではなく、加入している車両保険の種類(一般型・エコノミー型)により補償の対象かどうかが決まります。
一般型の車両保険であれば、ほとんどの自損事故がカバーされますが、エコノミー型では自損事故(単独事故)が対象外となっていることもあります。
一般型とエコノミー型の補償の違いは以下の図を参考にしてみてください。
参考:ソニー損保
対物賠償保険は、他人の家や車、他にも電柱や信号機、ガードレールなど、モノに対して補償が効く保険 です。
補償される例として、踏切内で車が停止してしまい、電車を停めてしまった場合や車で他人の建造物に突っ込んでしまったことに対する休業損害やガラス交換費用などが挙げられます。
ただし、自分の車や家など自分の所有物に対しては、無効になることには注意が必要です。
そして、自損事故の状況によっては、車が廃車扱いになるケースもあります。
その際に気になるのが、「保険金の支払い」や「廃車の買取金額」についてではないでしょうか。
下記の記事では、廃車時に受け取れる可能性のある保険金や買取金について詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

自損事故の修理費用はどれくらいかかる?
自損事故で発生する修理費用は、損傷の程度や車種によって大きく異なります。
例えば、軽いバンパーの擦り傷だけでも数万円、フロント部分の大破など重度の損傷では数十万円にのぼることもあります。
特に外車や高級車の場合、部品代や工賃が高額になるため注意が必要です。
「思ったより高かった…」と後悔しないためにも、事故後は早めに見積もりを取り、保険を使うかどうかの判断材料にすることが重要です。
具体的な修理費用の目安については、以下のページで詳しくご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
▶ [自損事故での修理費用の目安はこちら(内部リンク)]https://www.tau-reuse.com/contents/hoken-without-repair/
自損事故(単独事故)での保険利用は等級が下がる
自損事故で保険を使うと、ほとんどのケースで保険の等級が下がります。
これは、次回以降の保険料が高くなることを意味しているため、保険利用には注意が必要です。
保険には「等級制度」という1等級〜20等級までのランクがあり、それが上がるほど保険料が割引されます。
通常、無事故で1年間経過すれば等級が1つ上がり、保険料が割引されていきます。
しかし、事故で保険を使用すると、一般的に3等級ダウンし、さらに「事故有係数」という割増が3年間適用されるため、保険料が大幅に上がることになります。
たとえば、15等級の人が自損事故で保険を使った場合、翌年は12等級になり、保険料が2~3割増えることもあります。
つまり、修理費用よりも保険料の上昇分が高くなる場合、保険を使わないほうが得になることもあるのです。
そのため、保険を使うかどうかは、「修理費用」「免責金額」「等級ダウンによる影響」を総合的に判断することが重要です。
等級ダウンによって、保険料がどのくらい上がるのかより詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

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「事故車買取事例」
保険を使うべきかの判断基準
自損事故で保険を使うかどうかは、ケースバイケースで慎重に判断する必要があります。
保険を使えば修理費用の負担は軽くなりますが、等級が下がることで将来の保険料が上がるリスクもあるからです。
ここでは、保険を使うか迷ったときに見るべき2つのポイントをご紹介します。
- 免責金額の確認
- 修理費用が高額かどうか
免責金額の確認
まず確認すべきは、契約している保険に設定された「免責金額」です。
免責とは、保険を使ったとしても自己負担しなければならない金額のことです。
たとえば「免責5万円」と設定されている場合、修理費が10万円でも5万円は自己負担になります。
そのため、免責金額が高ければ高いほど、「保険を使うメリット」は少なくなります。
さらに、保険を使えば等級が下がって保険料が上がるリスクもあるので、免責額より修理費が少ない、あるいは差額がわずかなら、保険を使わない選択も視野に入れましょう。
修理費用が高額かどうか
修理費用が高額な場合は、保険の利用を検討すべきです。
たとえば、フロント部分の大破や、ドア・サイドミラーの交換は10万円〜30万円以上かかることもあります。
こうした大きな負担を自己資金でまかなうのは現実的でない場合も多いため、保険での補償を利用することも視野に入れる必要があります。
ただし、その際も「等級が下がった場合に今後増える保険料総額」と「今回の修理費用+免責額」を比較しましょう。
その差額が大きければ保険利用、そうでなければ自費対応という判断が合理的です。
まとめ
自損事故(単独事故)の場合、現在加入している自動車保険の車両保険により、保険が適用できるケースと保険が適用できないケースがあります。
また、当然のことですが事故で保険を使用した場合には、等級が下がり、翌年の保険料が高くなってしまいます。
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事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。