「水没車」あるいは「浸水歴あり」の表示を見たとき、多くの人が
「水没車とはどんな状態の車なのか」
「浸水歴があると何が問題なのか」
「水没車と知らずに買ってしまったらどうなる?」
といった不安や疑問を抱くのではないでしょうか。
水没車とは、線状降水帯によるゲリラ豪雨などの水害によって水没した車のことです。
じつは、水没車は見た目には問題がなくても内部に不具合が起こることが多く、水没車と知らずに車の安さに惹かれて買ってしまう人も少なくありません。
そして車に水没歴がある場合、売却や下取りの際にも大きく影響します。
水没歴がある車は通常より大幅に売却額が下がり、想定外の安さに驚く人も少なくありません。
ここでは、水没車の定義や見分け方、購入時の注意点に加えて、水没した車の修理・売却方法までを詳しく解説します。
この記事を読めば、安い中古車を水没車かどうかしっかり見極められるようになり、損をせずに良い品質の中古車を選べるようになります。
事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。
幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、
車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。
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小池 一敏
そもそも“水没車”とは?
“水没車”とは、線状降水帯によるゲリラ豪雨などの水害によって水没した車のことです。
また、水没車には水害車や冠水車、冠水歴車などさまざまな呼び方があります。
日本自動車査定協会の査定基準によると、水没車は「室内フロアよりも上まで浸水した車」または「浸水の痕が複数ある車」と定義されています。
浸水の痕か飲みこぼしなどによる痕かを見分けるために、「通常の使用では発生しない場所の痕」と「通常の使用では付着しない汚れ・シミ」の2つを確認します。
例えば、シートのスライドレールやペダル類のブラケット、ステアリングポスト付近、シガーライター、シートベルトの取り付けボルトなどは、通常ではサビや腐食が発生しないため、これらの場所に痕があると水没車と考えられます。
さらに詳しい水没車の見極め方は【水没車の特徴と見分け方5選】で解説しているので、参考にしてみてください。
この度の水害により被害を受けられた皆さまへ、心よりお見舞い申し上げます。
お車が水没してしまった場合、早めの対応が安心です。
全国対応で水没車の買取実績豊富な「タウ」が、全国どこでも迅速にお引き取りします。
激安の中古車は水没車の可能性あり
激安の中古車は、水没歴があるため安く販売されている可能性があります。
水没車であることが分かった場合、故障のリスクも高いことから購入はおすすめしません。
水没車ではないと虚偽の説明をして販売することは、消費者庁が定める景品表示法の不当表示に該当し、「公正競争規約」に違反する可能性があります。
そのため、購入時には「車両状態の説明」「修復歴の有無」などを十分に確認し、少しでも疑問があれば販売店にしっかりと説明を求めることが重要です。
水没車と知らずに購入してしまい返品をしたい場合は【水没車を購入してしまったら?】の章で対応方法を詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
水没車の特徴と見分け方5選
水没車を見極めるには、その特徴を知っておく必要があります。
「この安い中古車って実は水没車なの?」と思ったときは、下記の5つの箇所をチェックしてみましょう。
- ドアの内側
- エンジンルーム
- 電装部品
- トランクルーム
- その他
ドア内張
- ドアの内張の内部にあるシーリングスクリーンにはがし跡がある
- 接着剤(ブチルゴム)に粉末状の汚れがついている
- 各トリム類の製造年月、初度登録車と、年式などとの誤差を確認する
浸水した場合、ドア内張を交換している可能性が高いため、欠かさずチェックしましょう。
エンジンルーム
- シリンダブロックとヘッドカバーボルトがサビついている
- アルミ製部品が腐食・変色したりしている
- ラジエータコアサポートやエアコンコンデンサが変色している・粉末状の汚れがついている
エンジンルームの見極めは、知識がなければ判断が難しいかもしれません。
しかし、腐食や変色、サビつきがあれば確認できるため、チェックしておきたいところです。
電装
- オルタネータとエアコンコンプレッサーが腐食している
- パワーウインドやカーナビ、オーディオ、ドライブレコーダーなどの作動不良
- ABSやエアバッグ、触媒センサなどのパイロットランプの異常
- レンズ内に粉末状の汚れがあったり、変色したりしている
- ヘッドランプ反射鏡が曇っている
浸水によって電装関連が故障や腐食していると、それらが正常に動作しない可能性があります。
命にかかわる機能もあるため、欠かさずチェックしましょう。
トランクルーム
- 工具格納トリムボードが変形している
- 工具・ジャッキがサビついている・粉末状の汚れがついている
- トランクマットと内張が交換されている
- トランクルーム内がサビついている・カビ臭い
濡れたまま放置すると、サビつきます。
そのため、トランクルームのなかまで調べることで、水没車かどうか判断しやすくなります。
その他
- エンジンオイルやAT車のトルコンフルードが変色・白く濁っている
- 検査証や自賠責保険証が汚れている・再発行されている
- 取扱説明書や整備手帳が汚れている・紛失している
説明書類の欠品や再発行などがある理由は、水没によって紛失したり汚れたりしたためです。
車以外の部分にまで注目することで、より一層水没車かどうか見極めやすくなります。
このように車が水没すると、さまざまな箇所にサビや腐食、粉末状の汚れなどが起こります。
中古車を販売する際には車内が清掃されるため、ある程度の症状は改善されますが、コストがかかる清掃や修理などは行われないケースもあります。
そのため、細部まで注意深く見ることで、水没車かどうか見極められるでしょう。
また、販売店に対して水没車かどうか直接尋ねることも大切です。


愛車が水没してしまった時の対処法3選
自分の愛車が水没した場合は、どう対処すれば良いでしょうか。
水没車の対処法は、「修理」、「売却」、「廃車」の3つです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
修理
修理費用は、水没の程度で大きく異なります。
フロアよりも上まで浸水した場合は、エンジンや電気系統の故障が懸念され、場合によっては修理費用が100万円を超えます。
車両保険を使用する方法もありますが、保険金額が100万円の場合は100万円以上かかった時点で差額の支払いが必要になり、翌年の保険料も上がるため乗り替えを検討した方がいいでしょう。
浸水状況によっては、200万円以上もの修理費がかかり、修理をすると損になるケースがあります。
車両保険の免責金額が無制限の場合は、全額を修理費用に充てることが可能ですが、月々の保険料が高くなります。
そのため、修理費が高いと車両保険では補てんできない場合が多いのです。

売却
フロアよりも上まで浸水した水没車は、現時点では問題がなくても将来的に不具合が起きる可能性があるため、中古車買取業者やディーラーに査定を出しても高額買取は期待できません。
査定では点数制が採用されており、水没車は日本自動車査定協会が定めた規定に従い、次のように減点されます。
- フロアまで・・・50%以内
- クッション上部以上・・・70%以内
つまり、深く浸水すればするほど買取価格が低くなります。

廃車
解体業者に依頼して車を解体し、陸運支局への手続きを経て完了となります。
手元に一切の現金が残らず、手続きの手間もかかるため、もっとも避けたい方法です。
また、廃車引取費用や解体費用も数万円程度かかります。
無料で引取・解体できる業者もいますが、いずれにしても損が大きい方法です。
また、怪しい業者もいるため、トラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。
「愛車が水没してしまったけど、保険を使えるかわからない・・・」
とお悩みの方は水没車の保険に関して詳しく解説している下記の記事をご覧ください。

浸水歴のある車に関するよくある質問
この章では、浸水歴のある車に関する質問に回答しています。
ぜひ参考にしてみてください。
水没車を購入してしまったら?
水没車(冠水車)と知らずに購入してしまった場合、契約の取り消しを求めることができます。
中古車を販売する際、「冠水車」であるにもかかわらず、「冠水車」ではない等の虚偽の表示・説明をした場合はもちろん、「冠水車」であることを表示・説明しなかった場合も不当表示に該当し、公正競争規約に違反することになり、景品表示法上も問題になります。
引用:自動車公正取引協議会

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水没車の売却をご検討の際には、一度ご相談ください。

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